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わたしのソファー

白洲漬けの日々



図書館から借りた、白洲正子さんの「両性具有の美」と、
河合隼雄さんとの共著「縁は異なもの」はとてもおもしろかった。


明恵上人 (講談社文芸文庫―現代日本のエッセイ)
白洲 正子 / / 講談社

おふたりの出会いのきっかけになった白洲さんの「明恵上人」を早速購入し、今読んでいる。
ずっと前に読んだ河合さんの「明恵 夢を生きる」も本棚から引っ張り出して、もう一度読む予定。




両性具有の美
白洲 正子 / / 新潮社




「両性具有の美」は、白州さんの名言集ができそうな勢いである。
いろいろな話に男色の事を絡めてお書きになっている。
男色と言うと、どうしても生々しい行為の方を想像してしまうのだが、ただのホモセクシャルと違い、昔の男色は命がけの契りを結ぶ子弟関係や友情の事であった。

白洲さんは能にも造詣が深く、実際に11歳の頃から能を習い始めている。
「能は女には無理だという事がよくわかる。」
やはり物語の背景や、女を演じる時にお面をつけるということもあろうが、世阿弥自身の男色であった背景が色濃く感じられたのであろう。

天狗の話が数々の絵巻とともに載っていて、大変興味深い。
その絵巻は天狗草紙絵巻と言って鎌倉時代後期に作られたらしい。
僧侶の生態を天狗にたとえて戯画化ものであり、僧侶の顔が、だんだん天狗に変わる様もおもしろい。

そのあとで白州さんは、あんまり天狗とはしゃぎすぎて肺炎になってしまったそうで生死の境を文字通りさ迷ったらしい。
もうこの世ともおさらばか、持病も他にあるので心では死ぬ用意をしていたそうだ。
「用意といったって裸で生れ、裸で死んでいくのだから何もすることはない。あるのは持って生まれた好奇心だけで、人間が死ぬってどういうことなのだろうと、見るだけの事は見ておきたいと思っていた。」
だが意識がなくなる一方で、他の世界で白州さんは能の「花月」のシテに変身し、一緒に顔見知りの天狗の親分と空を飛び、能を舞っていたらしい。
それから3週間目に意識を取り戻し、水をいただきその次に欲しがったのはなんとコロッケだった。
失礼なことだが、サムライのような心も持つ白洲さんと、コロッケ・・・・・なんとまぁ可愛い・・。
しかし、人間が死ぬってどういうことなのだろうと見るだけの事は見ておきたいと仰る、そういう腹を括ったもの言い、いや自然な気持ちからなのだろうが・・。
生きるを生き抜いた人は、自然とこういう気持ちになるものなのだろうか。


縁は異なもの (知恵の森文庫 (tし1-1))
白洲 正子 / / 光文社



河合さんとの共著「縁は異なもの」は、結局文庫本を購入してしまった。
心を打たれた部分があり、どうしてもこのままこの本を返してしまうのは寂しかったのだ。
それは、白洲さんが自分の罪として一生背負っていくつもりであったものを、河合さんは一言で救ったという、精神分析医としてというよりも、心の大きさを感じる、以下のことばであった。

あまりにも大きなショック・・・例えば愛する人を亡くす・・・を受けた時、人はそれから逃れるために、ごく些細なことやつまらない事を考える、つまり逃げるのだ。
無意識的な防衛作用が起こって、それによって心が癒されるだけでなく、次第に平常心を取り戻してゆく・・・。
時間とともに悲しみは徐々にやってくるが、そのようにしてこそ、それに耐えられるのではなかろうか・・・・。

白洲さんの場合は、「ああ、これでイースト菌が買えなくなる。」と思ったらしい。
私の場合はとても書く気にはなれないが、私も白洲さん同様に、自分の思ったことに対して誰にも言えない罪の意識を抱えていたので、この部分はガンと自分の頭に響いたのだ。
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Commented by おやすけ at 2008-06-15 23:21 x
男色と天狗って、どうも出来すぎですね~。
私は、白洲さんと南方熊楠&河合さんと南方熊楠に対談して
欲しかったですよ。熊楠も男色論の研究熱心でしたしね。
コロッケ・・・うん、でも、心にいる子供としての白州さんが
一番欲しがっているものなんだろうな~と思いますよ。
妙にリアルだなぁと思います。
Commented by umih1 at 2008-06-15 23:58
おやすけさん
「両性具有の美」に、南方熊楠のことが書いてありましたよ。
このひとは、不思議なひと・・という印象があるんですが、良く知らないんです。南方さんご自身の男色の経験の事も書いてありました。とてもプラトニックで美しいです。
白洲さんはコロッケのあと、カツレツ、フライ、タンシチュー、お寿司・・・と続きます。 復活!と言う感じでおもしろいですよね~。
Commented by at 2008-06-16 01:02 x
おぉ~・・あぁぁ~・・ぐふぐふ・・・読んでない・・・白洲正子さんも、河合先生も著書が多すぎ・・!「明恵 夢を生きる」は読みたい、読みたいと思って、何年も経ってしまったよ。「縁は異なもの」も、読んだつもりが、読んでないぞぉ・・・うぅぅぅ。
Commented by umih1 at 2008-06-16 22:20
菫さん
なんでしょう・・・なんか悶えているぞ・・・・・
確かに、お二人は著書が多いですね。
菫さんは夢占い館の主なんだから、ぜひ明恵上人の夢のお話は読んでみてくださいね。
図書館の主でもあるわけだから(勝手に)、ばんばん予約できるぢゃあないですか!羨ましいよ~。。
Commented by eaglei at 2008-06-17 06:33
おはようございます うみさん♪
僕が書いた記事に、かってにこの記事のリンクを貼りました。
ごめんなさい。
ご不満でしたら、外しますね。

白洲さんって、どんな方だろう~。
読みたい♪

Commented by umih1 at 2008-06-17 22:11
eagleiさん
こんばんワン♪
え~嬉しいです、イーグルさんの記事にですか?
ありがとうございます。大した記事じゃないのに~。謝らないでくださいな。
白洲さんは、17年前に81歳で亡くなってしまったのですが、14歳ですでに「平家物語」や「枕草子」などの古典に親しんでいたらしいですよ。年譜によれば、やはり14歳で、女性として初めて女人禁制の能楽堂の舞台に立ったとあります。
凄い女性ですね・・。
Commented by bongu04200420 at 2008-06-19 23:49
高山寺の明恵上人すね。この前高山寺には行きました。
鳥獣戯画は(確か本物ではないけど)おもしろかったです。
宗派は違うけどなんかいろいろ考え深い気持ちになりました。
Commented by umih1 at 2008-06-21 21:43
凡愚さん
高山寺は有名なお寺なのに、特に見る物もなくさっぱりしている・・・とありました。宝物はほとんど京都博物館に保管されているそうですね。お寺にある鳥獣劇画や明恵上人の絵は複製らしいですが、本物でなくてもいいので本物に近い大きさのものを直に見てみたいです。
明恵上人の本を読み進めるほど、その魅力に引き付けられています。
by umih1 | 2008-06-15 21:48 | | Comments(8)
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