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わたしのソファー

老いの身のあはれ



良寛さんのうたが好きだ。
わたしに歌心はないが、良寛さんのこころが伝わってくる。


~良寛さんのうた   解説:谷川敏郎

  あしびきの岩間を伝う苔水の
  かすかに我はすみ渡るかも

  岩間の苔を伝わって流れる水が澄み渡るように
  わたしはひっそりとこの世に住み続けていることよ。




山形の祖母に会ってきた。
高齢なので(92歳)、すぐ疲れて横になる。
私が泊まった日は、午後6時から翌朝7時ころまでずっと熟睡していた。
前日は、あまり眠れなかったためらしい。

祖母は耳が悪く、電話をしてもなかなか出ない。
ようやく繋がり、私がそちらへ行く、という事を話しても、
「あ~、子供達もみんな元気なのか~。そうか良かった。」と、
聞こえないのに一生懸命何かを話す。
何度も何度も言って、ようやくわかってもらえて電話を切る。
通話時間をみると、約10分。
補聴器をとても嫌がるので、仕方ない。
でも、聞こえないため相手の言ってる事を憶測し、ひとりで傷ついたりするときもあるらしい。

「おばあちゃん、プライド高いから~。」
って、おばさんは言うけれど、プライドってなんだろうと思う。
たくさんの辛い事を克服して、頑張って生きてきて、今さら高いと言われるプライドって?
「わたしも仕事あるし、孫も立て続けに生まれたし・・・若くないからよ~。」
一番お世話してくださってるおばさんにそう言われると、もうひたすら謝るしかない。
事情が許せばすぐにでも一緒に暮らしたいけれど。
役所に相談しても、今の状況が一番という結論になる。
「寂しさ」これとどう折り合いをつけるか、一番難しいものが人の気持ち。



  たまきはる命死なねばこの園の
  花咲く春に逢ひにけらしも

  わたしの命がまだ保たれていたので
  この家の庭に美しく花咲く春にめぐり逢うことができたことよ。


「毎日、あぁ今日が最後かもしれないと思うんだよ。」
そういう祖母の悪くなった目に映る花は、一際美しいのだろう。



  いついつと待ちにし人は来たりけり
  今は相見て何か思はむ

  いつ来るかいつ来るかと思って待っていた人は、ついにやって来てくれたことよ、
  今はもうこのように対面できて、何を思おうか、いや思うことは何もない。


これは病気の良寛が、見舞いに訪れた貞心尼に会い、喜びを伝えた歌とある。
祖母が私に会う瞬間の気持ち、私が祖母に会う瞬間の喜び、
それだけで何も言う事はないのだ。
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Commented by おやスケ at 2008-05-07 16:12 x
・・・・・・。そうですね。 そういうことですよね。本日は何も言う事はありません。私の祖父母はもういないから。
・・・だから、すごく大切な瞬間ですよ。
Commented by at 2008-05-07 22:46 x
92歳のおばあちゃんがいたら、今の私はどうだっただろうな。想像するだけで、胸が温かくなるな・・。長生きして辛い事もあるけれど、うみちゃんのような優しい孫が遠くから会いにきてくれる、嬉しい事もたくさんあるんだろうな・・・・。
Commented by syenronbenkei at 2008-05-07 23:34
僕も良寛さん好きです。
いざここにわが身は老いむあしびきの国上の山の松の下陰
、、、でも、落ち着けない。
人って哀しいですね。
Commented by umih1 at 2008-05-08 22:04
おやスケさん、そうですね、祖母と会う時間は、大切な時間です。
いつも「これで最後かもしれない」と、口にはださないものの、お互いに考えているのがわかります。
祖母は、10年以上も親代わりになって、私を育ててくれたんですよ。
ありがとう・・・の気持ちでいっぱいです。
Commented by umih1 at 2008-05-08 22:10
菫さん、菫さんのおばあちゃんは、菫さんのことをずっと見守ってると思いますよ。ヨガをする時も、一緒にしてたりして(笑)。
歳をとればとるほど、性格的な特徴が際立ってくる人もいるらしいですね。頑固ババァにはなりたくないな~。
人に対して感謝できる素直なおばあちゃんになれたら、周りの人も自分も幸せですよね。そんなふうに年をとりたいですよね。
Commented by umih1 at 2008-05-08 22:20
セイロンさん、良寛さんて、子どもと日が暮れるまで遊ぶイメージもあるし、歳をとり病に苦しむ寂しさ・・・孤独のイメージもありますよね。
でも私が一番好きなのは、夢中で花をつむ子供のような良寛さんです。
歳をとる孤独、哀しさを歌う良寛さんのように、自分もいつか年老いて静かに死んでゆくんだな・・・そう思うと、今どのように生きていくのか・・・(自己実現とかいう意味ではなく)・・・これでいいんだろうか、などと考えてしまいます。よい死の為に、よりよく生きたい・・・です。
Commented by mitatejapon at 2008-05-09 09:35
うみさんと、うみさんの御祖母様の、心と心の触れ合う瞬間 ほんとうに素敵だなあと、いつも感じております。わたし うみさんが、御祖母様を語るお話し、大好きなんですよね。御祖母様を慈しむ うみさんのお気持ち
とっても美しいものだと思います。。。。
Commented by umih1 at 2008-05-09 21:54
mitateさん、
ありがとうございます。おばあちゃんからは、いろんな事を学ばせてもらっています。年をとることの不安はもちろん、いろんな経験をしてきた中でいくら辛くても耐えるという事・・・「神様から生かされてるんだから、生きなくっちゃあねぇ。」と、会うたびに言われます。
私なんか、まだまだ甘いな・・・と反省するんです。
mitateさんのおばあさまは、95歳ですよね・・・もう96歳でしょうか。
お年寄りの苦労の上に、わたしたちの幸せがあるんですよね。
Commented by eaglei at 2008-05-11 00:06
おばあさまの話を読んで、じ~んとしています。
育ててもらった恩を忘れないうみさんの心が、最高です♪
おばあさまに、もっともっと幸せになってもらいたいです!

良寛さんについて、僕は全然知りませんでした。
教えてくれて、ありがとうございます。
ほっこりした俳句を詠まれる、歌人だったのですね。
Commented by umih1 at 2008-05-11 17:48
eagleiさん、
ありがとうございます。おばあちゃんの幸せを願って頂けて、ほんとうに嬉しい^^!

良寛さんはお坊さんです。子供のような心で、今も人気がある人です。もう亡くなって200年くらいの人なんですけどね。
今も昔も、人の想う事はおなじだなぁ~と思います。
by umih1 | 2008-05-06 23:55 | 家族 | Comments(10)
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