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わたしのソファー

車谷長吉の人生相談  

  

赤目四十八瀧心中未遂を読んだ時は
その面白さに釘付けになり、いままでなぜこんな素晴らしい作家をしらなかったのだろうと思ったものだった。
白洲正子さんの本に夢中になっていたころ、
車谷さんのことが書いてあって、
あんたって怖い、とあの白州さんが言っていたほどの人・・・というのが
頭の片隅に引っかかっていて、
あ、と思いだして図書館で探したらこの本が一冊あったのだった。
性欲は強いものの、相反して他の欲にたいする欲望のなさに、底知れぬ恐怖を感じて釘付けになったのだ。
欲望のなさとは、死を思い浮かべるが、死も、死にたいという欲望のひとつである。

しかし・・・恐れ(あるいは畏れ?笑)を感じた作家さんが、新聞の人生相談の回答者になっているということを知り、矢も楯もたまらずアマゾンに注文・・・
一人目の相談にたいする回答を読んで、この人、仏教徒かなと思った。
途中で自分は仏教徒だという記述があったが、まず多用している文句は、
「救いはありません。」「阿呆になるのが一番です」
「この世は苦の世界です」
「奈良盆地あたりの散策をお勧めします」

教え子の女生徒が恋しいんですという40歳の高校教師には
「恐れずに、家庭も仕事も失ってみたら」
そうするとはじめて人間の生とは何かということが見え、この世の本当の姿が見えるという。

人の不幸を望んでしまうという46歳主婦には
「何も問題のない家庭をお持ちなのだから、まず自分が不幸になって苦い思いをなめる以外に救いの途はない。あなたには人生の不幸を乗り越える力がありません。愚痴死が待っているだけです。あなたには一切の救いがないのです。」

相談内容にもよるので、もちろん温かい回答もある。

72さいの祖父に困っているという12歳の女の子には、
「おじいさんをとがめてはいけませんよ、お父さんやお母さんに相談してみましょう。」

父が女性の下着を持っているという18歳女子高生には、
「父上の一番良い所をみてあげて。それがあなたの救いにもなります。」

人生相談の回答って難しいなあと思っていたけれど、車谷さんの回答は全部筋が通っている。
結局は自分を救うのは自分であるということなのだ。
自分を救えるような自分におなりなさいということだ。

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Commented by _kyo_kyo at 2013-04-29 15:58
車屋長吉と云う方は存知あげなかったですが、
人生相談のコメントが中々良いですね。
無責任の様でいて、実はずばり的を得ている。

こういう人が身近にいたら、
つい愚痴って、叱られて、喜んでしまうんだろうなあ^^
Commented by umih1 at 2013-04-29 21:11
kyo kyoさん
コメントありがとう~ GWはいかがお過ごしですか?
この人生相談、笑えましたよ。
71歳男性が、小説を書きたいという相談に、
「善人には小説はかけません。
”虚”によって”実”を破るのが文学です。
作家になるにはすべてを捨てる覚悟が要ります。
苦痛を伴いますが苦痛を感じれば人は真剣になります。
心に血がにじむからです。」
・・・以上ですが、いやはや、71歳の人にも容赦ありませんね。
私は毎朝、新聞の人生相談を読まないと気が済まないのですが、相談してくる内容はさしてかわらないものの、車谷氏のようにストレートに答える人はいないです。
今もこの人生相談は続いていると思うのですが、一度相談してみたい気もします(笑)。

by umih1 | 2013-04-28 17:11 | | Comments(2)
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