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わたしのソファー

カフカのアメリカ


賢い美少年カールは、年増の召使を孕ませ親に追い出される。
そこから彼は、不条理の道を歩み続ける。

大国アメリカへ到着した船上でのやりとり、自分の大切なスーツケースを他人に預けたまま、他人の厄介事に首を出す。
彼の自信は若さに由来するものだろうか。
ごったがえす人の波、赤の他人の問題に巻き込まれ、この先の混乱した道を予想させる。

お偉い伯父に預けられるが、途中で厄介払いされる。
10代半ばの少年が、大国アメリカに放り出されたわけだ。
その理由は読者にも提示されない。
この先の物語も、不条理と茨の道が続く。

この少年は、孤独を感じる間もなく、生きるのに必死なように描かれている。そんなわけはないはずだが、それはこの物語を明るく感じるからだ。
途中の章が抜けているのだろう。突然始まり終わる第8章は、もっとも希望に満ち、もっとも先行きの不安に満ちた場面だった。

「身分証明書」を持たない彼は、この先どうなることだろう。
自分は自分であることを、1枚のカードが証明するわけだが、
本来、自分を証明するのは他ならぬ自分自身である。

アメリカという未知で広大な国にポンと放り込まれた少年は、
この先どのような大人になるのか、最近読んだ物語の中では、
一番想像力を掻き立てられるものであった。

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by umih1 | 2013-01-27 19:50 | | Comments(0)
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