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わたしのソファー

川上弘美2冊



存在の揺らぎと、不在が有るということと、
白い波。

女という生き物が、
現実と何かの挟間でゆらゆらしている。

映画やドラマになりにくい、こういう物語こそ、
小説を読む醍醐味を感じる。

自分だけの絵、というものが記憶になり、
まるでその物語の表紙になるかのようだ。

表紙と言えば、この小説は図書館から借りたものだが、
白地に「真鶴」という大きな字の表紙ではなく、
微妙に違うトーンの色の林檎が、
ごろごろと無造作にころがっている絵のものだ。
それぞれの実はそれぞれに影をおびている。
そばにいても、永遠に分かり合えない部分をもつ。

それが親子だとしても、それが男と女だとしても。




11の物語。

『長い夜の紅茶』の主人公である ”わたし” を思う。
ごく普通の主婦。
おだやかと言われる性格。

相性の良い姑と、夜更けに飲む紅茶。
「あんた、ほんとは名人でしょ。」

私はこの主人公にとても憧れる。
こうなりたかった。

もうひとつ、気に行った物語は『どこから行っても遠い町』

こちらは男性が主人公だ。

子どものうちから女は、いろんなことを決めたがる。
しかしおれはただ、こうして成行きに任せて生きていく。
けれども気がつくのだ。成行き任せではなかったと。
生きて、人にふれ合う、それは何かしらの選択を伴う、言い換えればそれは何かしらの影響を与え受けるということ。

そんな当たり前のことを、今更気がつくこの男はアホだなと思った。

「この墓におれは、誰かと一緒に入ることがあるのだろうか。」
それでも、男はそう思う。
妻や子供、母親や愛人。
そういう存在があっても、そう思う。

そこのところは、なぜか共感したのだった。

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by umih1 | 2012-09-30 18:02 | | Comments(0)
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