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わたしのソファー

金曜日の夜に


おぼろ月が道を照らす。

ぶらぶらと、犬を連れての散歩時間。
空には夏の星々が、いつもどおりにピカピカしている。

飛行機のランプが見える。あんなに速く、どこへ行くのだろう。
飛行機って速すぎる。からだだけ移動して、魂は置いてけぼりにならないのかしら。
そんなこと言って子供みたいだけど。

あの星のピカピカは、いったい何年前のピカピカだろう。
ずっと昔の光を今見ているのだなあ。
いつも変な気持ちになる。

虫の音が心地よい田んぼ道。
かぶと虫が死んでいる。
その無造作な姿を形容すると、「からっぽ」という言葉が浮かぶ。

映画の「おくり人」の、遺体が入った焼却炉に火がつくシーンを思い出す。
日本はいつから火葬になったんだろう。
アメリカは土葬だ。だから、マイケルジャクソンのスリラーのPVは、お墓からお化けがでてくるんだなあ。
そしてそのお化けには、ちゃんと足があるのだ。

最近、孤独死という言葉をよく見かけるけれど、みな一人で死んでいくわけだから孤独なのは当たり前だ。
見守られて死ぬのが幸せなんだろうが、そうでない人の方が圧倒的に多いと思う。
死に方を問題にしているような気がする。
そうじゃないよなあ、生きている間のことをもっと問題にした方がいいのではないかと思うのだけれど。

でも私は、父と母と祖母に関して、彼らが死んでからの方が、存在を近く感じるようになった。
人のことは言えないなあ。生きてる間にもっと会っておけば良かったな。

もし母が病気でなかったら、自分の人生は大きく変わっていた。
あの時、私が3歳くらいの時、階段に座って頭を抱えていた。
私は「その時」に行って、そっと母の肩を抱きしめる。

母が亡くなって数ヶ月後、偶然、長女の日記を読んだ。
9歳くらいだった長女の日記には、夢の事が書いてあった。

「おばあちゃんの夢を見ました。
おばあちゃんは、白いきれいな服を着て階段をのぼっていました。
両脇には、白いきれいな服を着た女の人たちもいて、
一緒に楽しそうに笑って、階段をのぼっていました。」

その場面はそれ以来、わたしを最大限に慰めてくれる宝物になった。


たんぼ道を抜けると、民家がある。
窓を開け放した居間の灯りと、ざわざわしたTVの音。
網戸があるために、少しもやもやして、あまりはっきり見えないのがいい。
人がくつろいでいる姿に、ああ今日は金曜日だなと思う。

日本犬のシロが寄ってくる。
ジロウとラニと、鼻をくっつけてお尻の匂いを嗅いでいる。
ちゃんと会話してるのだなあ、かわいいなあと思う。
シロの鼻をちょんちょんと、なでる。
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Commented at 2012-08-05 05:22
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sarakosara at 2012-08-05 09:33
鼻の奥がツーンとするような、あたたかで哀しくて、そんな情景。
私もゆうべ、おぼろ月を見ましたよ。
あの頃うみちゃんは、田んぼ道を歩いていたのかな。
なくなった人も、そばにいるんだなってよく思うことがあるの。
とくに好きだった人は、よりそっていてくれる。
でもそれは、私たちがその人のことを忘れないでいるからのような気がする。
お母さんの肩を抱くことを想ううみちゃん、お嬢さんがみた夢も不思議だけれど、きっと忘れないでいることで、つながっているのですね。
見守っていてくれてるのだと思う。
Commented by umih1 at 2012-08-05 20:34
鍵さん

そうかあ、辛かったね。
でも今はなんとか元に戻れたようで良かった。
家族の支えがあったからこそかな・・
だんなさんの親もそうだったのか。苦労したんだね。

小さい頃は、母がどうしてそうなってしまったのか、いくら考えてもわからなくて、幼いながらに運命を受け入れてたのね。
そういう自分のことも、今でも時々抱っこしてあげるのよ。
だから自分は母親業をちゃんとしたいと強く思ってたけど、空回りしてることが多くて、それに関しても自分セラピーしてるの最近は。

そうだよそうだよね。繋がってるよね。
なんかいろいろ諦めることが多いけど、がんばろ。
ありがとう。

Commented by umih1 at 2012-08-05 20:45
sarakosaraさん

さらこさんの、お母さんのことを書いている記事が好きです。素直な気持ちが伝わってきて、いつまでも親は親で、子は子なんだなあと。

娘が見た夢は、母が私を安心させるためだったんだなあと思うんです。
人生を放棄してしまったような病気は、周りが大変というけれど、本当は本人が一番辛いと思う。
その辛さが可哀そうでたまらなくて、だからあの夢の笑顔は、私を慰める母の優しさなのかなと思うのです。

母ができなかったこと、自分らしく生きるということを私はしていきたいなと思う。
祖母の苦労や母や父の苦しみの上に、私の幸せがのっかってるんだなあと、ありがたいなあと思います。

屋上で見た、花火。お父さんと旦那さんと、ビールでいっぱいやりながら、ゆったりした時間。
さらこさんのそういう時間の積み重ねも、とってもいいなあと憧れるのです。
近所だったらビール持ってったのになあ(笑。
by umih1 | 2012-08-04 18:01 | 思う事 | Comments(4)
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