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わたしのソファー

日の名残り




日の名残り (ハヤカワepi文庫)

カズオ イシグロ / 早川書房





カズオ・イシグロ 「日の名残り」

イギリスの執事が休暇の間に旅をし、今までの執事人生を振り返るという話である。

一人称で語られている。
そのため、読んでいる自分の感覚と、主人公である執事の感覚にズレが生じる。
まあ要するに突っ込みどころが満載なのだが、そこが面白いなあと思う。

執事としての品格に触れたとき、さて品格とは何ぞやと考えてしまう。
何年か前に品格本がブームになった。まったく興味がわかず読まなかったが、他人に品格をどうこういわれるほど暇じゃないというか・・要するに分をわきまえ、自分に恥ずかしくない生き方をすべしということか。
他人が嫌がることをしないということか。

最も秀逸なのは、風土の美しさ溢れる描写と、
お互いに心を寄せていた女中頭との再会と別れの場面である。
あくまでも執事としての一人称である文体から、溢れこぼれ落ちる想いが、
切ないという言葉では治まらない、人生のまるごとが目の前に現れるのである。

現わさない言葉で、現れる心情。
海辺の町の桟橋から見える夕陽は、執事としての人生の後悔を、
涙で流すには最適な場所であったろう。
素晴らしい小説である。
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Commented by sarakosara at 2012-02-07 23:27
人に仕えるという仕事と、プライドと品格、
それこそ小説になるべくしてなる職業なのかも。
風土の美しさ溢れる描写、海辺の町の桟橋から見える夕陽、
小説というと、心理描写だけでなく、その情景や風景が目に浮かぶものが好き。
言い過ぎない文章の余韻もいいなと思います。

うみちゃんはほんとうに本が好きね、
これは読んでみたいと思う本とは、どうやってであっているの?
Commented by umih1 at 2012-02-08 22:04
sarakosaraさん
ミコちゃんのお誕生日、おめでとうございます^^

情景の描写は、言葉少なく余白があった方が、わたしもいいなと思います。
日本人の、昔の作家は、言葉巧みな繊細な描写が多いと思ってますが、それはそれでまた面白いものですよね。

本は、移動や待ち時間で読むよりも、家で読むのが好きです。本を読むと、逆に自分に戻れる気がすることもあるので、好きなのかな。
図書館に行ったときはなるべく知らない作家を選ぶようにしてます。あとは、新聞や雑誌の本の紹介や広告で、あっ!と思います。
Commented by Gabrielle at 2012-02-10 22:15 x
これって、映画にならなかった?
なんか題名に見覚えがあるわ。
エゲレスはなんかこう、ラテンとは違う、ストイックさと言うか、「淡々とした」感じと言うか、ねちっこくない良さがあるよね。
Commented by umih1 at 2012-02-11 21:23
Gabrielleさん
なったなった。
アンソニー・ホプキンスとエマ・トンプソンでね。
そうそう、エゲレスものって自然描写もいいしね。
最近この人の小説にはまってるのよ。
「わたしを離さないで」っていうのも面白かったな~
Commented by mitatejapon at 2012-02-12 14:32 x
カズオ イシグロさん、私も大好物です。
ヨーロッパ出張に向かう機内で読んでいるとぐんぐんその世界に嵌まり込んでしまいます。
因みにこちらの映画のエマ.トンプソンも大好物です♪ (笑)
Commented by umih1 at 2012-02-12 21:41
mitateさん
わたし、他に2冊買いました。
夜想曲集と、わたしたちが孤児だったころ。
mitateさんもファンなのですね。長時間の移動にピッタリかもしれませんよね。
エマ・トンプソンて、表情が豊かでチャーミングですよね。映画は観ていないんですけど、ピッタリな役だなあと思います。
Commented by pikeflower at 2012-02-13 13:53
わたしも映画で見たくちです。
アンソニーホプキンスって、ほんとなんにでもなれる人ね。ストイックな静かな役もよく演じてた。
わたしも言わせてもらうと、フランスものというかラテンものより、エゲレスのほうが性に合ってます。
なんかわかりやすい・・^^
Commented by umih1 at 2012-02-13 22:19
pikeflowerさん
アンソニーホプキンスといえば、わたし、羊たちの沈黙が怖くってぇ・・・好きで本まで読んだけど、この人の顔ったら、本気で怖かった。
その印象が強くて、なんだか映画は見る気しないのよね・・でも役者だから、ガッチリと執事役にハマってるんだろうな。
エゲレスものって結構笑える映画もあるよね。
わたしはフランス映画に若いころハマってたことがあって、今でも好きでよく借りてる。
フランス映画といえば、男と女がやっぱり好きだけど、最近で言えば、アメリが良かったなあ。
Commented by pikeflower at 2012-02-13 23:32
確かにあのアンソニーホプキンスは怖すぎた(笑)
あの人はピカソやってもなにやってもやりすぎるくらい役にはまるというか、うますぎて逆に鼻につくんで、わたしは嫌い(笑)
エゲレスのわらえるって、たとえばベタですがブリジットジョーンズの日記とか?
最初にみたときは思いっきり笑ったけど。
最近笑ってないので、また見ようかな。
アメリは見てない・・umiさんがいいっていうならみてみようかな。
Commented by umih1 at 2012-02-14 21:27
pikeflowerさん
そういえば、ブリジットジョーンズはDVDをⅡも持ってる・・。ヒューグラントのすっとぼけキャラがおもしろくってね、ラブアクチュアリーもDVD持ってるよ。
アメリはもう結構前の映画になるんだろうか。
ココ・シャネルの主役になったオドレイ・トトゥが不思議ちゃん役のヒロイン。だから、それ系が苦手な場合は苦痛かもしれないけどね~
わたしは面白かったな~

by umih1 | 2012-02-06 22:03 | | Comments(10)
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