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わたしのソファー

養老先生の猫って素敵。




7月下旬に読んだ本


養老孟司「ぼちぼち結論」

戦中戦後を子供のころに体験された養老さんと、戦争を知らない自分の間には、
なんとかの壁が聳え立つのである。
その壁っていったいどんなもの?それは、「だまされたくない」ということだ。
誰だって、だまされたくはないのである。しかし、戦争という体験は、自国の勝利を信じて疑わぬ子供が、
「だまされた、嘘だった」という体験をしたということである。
そこからスタートしていく生き方というものは、平和な土壌で生まれ育つのが当然の権利だという意識もなく
ただ当たり前に過ごしていくという生き方とは、まったく違ってくる。

なんでも、当てにしていると、ろくなことはない。
子供手当の配布上限金額が手取り860万円という(あくまでたたき台としての金額だろうが)
ニュースを昨日見た。
1年で手取り860万円もあったら、子供手当なんていらないじゃない?
でも、何をしても、どんなふうにしても、どこかで必ず不平等感はでてくるものだ。
人を当てにせず、まず、汗水たらして涙たらして頑張っていれば、小さなことで幸せを感じるし、
お金はあればうれしいけれど、まずは健康と無事に感謝だと・・・
貰えるはずだったのに、当てにしていたのに~
こんなに頑張って育てたのに、当てにしていたのに~
自分を犠牲にして、こんなにつくしたのに~

当てにしていたことに、だまされたくないのなら、最初から当てにしないことである。
わかってはいるけど、私なんかは、ついつい・・

養老さんの猫ブログ、「そこまるぶろぐ」、最近のヒットである。
写真集もでているようだが、ぶっさぶっさな感じがたまらなく、私の萌アンテナにひっかかりまくるのである。
かわっ❤ 
別に猫なんて、キョーミないわという人でも、思わず「くすっ」と、まるで少女マンガの吹き出しのように、
「くすっ」と笑ってしまうでしょう。



レイモンド・カーヴァー「大聖堂」

何度読んだか知れず。
知る人ぞ知る、短編の王。百獣の王はライオンらしいが、短編の王は、このレイモンド・カーヴァーである、
と今のところ思っている。
ちっとも難しくなくてシンプルなだけに、リアルに心の動きが伝わる。
なんの説明もなく、初めて読んだ時は「なんてドライなんだ」と思ったが、
そうではなく、実はちょっと注意すれば、当り前なだけに後で気がつくのだ。
深奥まであらわしているということに。

絶望で閉じられる物語もある。気がついたら車輪の一部になっていて逃れようがなくなる人生。

洞穴のような暗がりに、もしかしたら、という希望で閉じられる物語。

あるいは、他人に対する、温かいまなざし。その温かいまなざしの背景には、
その人の、底の部分から現れるピュアなものとして、日常の立ち上ってくるような匂いや背景で、
自然にそれと理解できる・・・そういう、おしつけがましくない優しさに打たれる物語もある。

こんな風に書いているそばから、情景がわきあがってくる。いろんな物語の情景が。
こういう物語は、老人になってボケてしまったら忘れるんだろう。読んだ本の内容なんて。
でもそうなるまで、ずっと心に残る、こんな物語はめったにない。
年中、これはすごい本だとか言って感動しているけれど、こういう物語を語れる作家は、
他にはいないだろう。



ホルヘ・フランコ「ロサリオの鋏」

コロンビアの作家。訳者あとがきを見ると、本国ではベストセラーになったらしい。
麻薬の問題がはびこる国で、中流家庭の青年2人と、平気で人を殺す美しい女の話である。
危険であろうというシーンや詳細は巧みに避けられ、問題提示の部分はまるでなく、青年の、女に対する愛、熱情、欲望を延々と最後の最後まで語る小説である。

どうしても茶番にしか見えなくて、結局あんた、都合のいい男なだけだよ、最後の最後に抱かせてもらって、「彼氏より小さい」と冷たくされて(笑)、それでも愛してるってか。

しかし、小説とはいえど、そういうことが真実としてコロンビアには存在するんだろう。
殺して殺されて、日本でいえば任侠物だな。
任侠物って興味ないから、だからこういう話って、おもしろいと思えないんだな。
でも、ちゃんと小説として書けているから大したもんだ、なんて、偉そうにすみません。
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Commented by gabrielleraphael at 2011-07-30 23:51
さっきお昼食べながら、ダンナに祖父、父、私の天皇家に対する印象を、戦争経験絡みで話してたところです。
小学校庭の陛下御影に汽車の中からでも、礼をして祖父。
戦後教科書で、天皇に関することを、墨で黒く塗り潰させられ、一夜にして価値観の変換を強いられた父、国の象徴と習って、最初っから何の関心もない私。
父の世代の人たちが「お金を神」と思い始めて、高度成長をただ走った日本を支えたのは、こういう「裏切られた」経験を生きたこともあるのかもね、なんて思いました。
でも、お金を基盤にした人生も、裏切られることはあると思うけど....。お金ゆえに...。
Commented by bunkasaba at 2011-07-31 09:39
暑いですね〜。カーヴァーは春樹訳ですか。
つい最近、まだ読んでいなかった村上春樹の短編を読んだところでした。ついでに「ねじまき鳥クロニクル」も、多分3回目なんですが読み返してみました。長編は、本当にあらすじすら覚えていないですね。
Commented by umih1 at 2011-07-31 09:46
Gabrielleさん
>戦後教科書で、天皇に関することを、墨で黒く塗り潰させられ、一夜にして価値観の変換を強いられた父、
・・・勝つのは当然と思っていたのに、突然のこの変わり様・・・
一体何を信じればよいのやら、混乱した中で一番信用できるのは、お金。ということになるんでしょうね。
でもさ、責められないよね、だってそういう世代が一所懸命働いて、子育てして。
震災や原発の件で、価値観が変わった人も多いらしいけれど、戦争とはまた違うからね・・
戦争って、人に殺されることだからね・・・国の言うことは一番だったのに、結果的にはウソだったっていう。
8月になると、戦争もののドラマとか映画の放送が多くなって、忘れてはいけないんだろうけど、やっぱり観てるだけでも辛いよー。
Commented by umih1 at 2011-07-31 09:51
bunkasabaさん
今日は少し涼しいですよね~^^
カーヴァーは、春樹訳です。いいですよ。
男性ファンも多いんじゃないですかね。
春樹さんの短編て、文体も印象もバリエーションに富んでますよね。読んでいて飽きません。
ねじまき、誰かが読んでいるのを見ると、ああどういうんだっけ???やっぱり井戸だっけ?と、頭の中がぐるぐるしてきますね。
3回目って、あれって長いですよね。すごい。
Commented by sarakosara at 2011-07-31 18:27
あの昭和20年8月15日を境に、体験したことの大きさ、なかなか私達にはわからないことだと思います。価値観とか、生きるということやね。
でも、わかるわけがないと投げずに知ろうとすることも大切だと思います。

何度も読み返す本、いいですね。
昔何度も読んだ本ですら、おぼえているつもりが、読み返してみると、あれ?こんな展開だったっけ?みたいなものもあります。
それから、同じ作家でも、生きているうちに、感じ方が違ってくる人もいる。若い頃に心酔した作家の書いていることに疑問をもったり。何にも感じないと思った作家の本がいいなと思ったり。
変わらずにいいと思える本、大切だと思います。
Commented by umih1 at 2011-07-31 22:11
sarakosaraさん
戦争番組は、苦しくなるので観たくないですが、やはりそれは知らなければならないことですよね。
8月なると、ふだんは意識しないんですが、どうしても戦争のことを思います。

変わらずにいいと思える本・・・カーヴァーをまた読んでみて、数年前に読んだ時よりも格段に身にしみました(笑)。年をとるって、いいな~としみじみ思います。
なるべく、いろんな作家の本を読もうとしているけれど、こういう自分の中の定番を持っていられるのも、いいな~と思います^^

ミコちゃんの一次試験合格、おめでとうございます♪
二次試験もどうか、合格しますように、お祈りしてます。
by umih1 | 2011-07-30 22:00 | | Comments(6)
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