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わたしのソファー

いろんな想いと、もの。




先週の日曜日は山形に行った。
ばあちゃんが入院していた病院は転院しなければならず、
ずっと受け入れ先をおばさんと相談員さんに探してもらっていた。
老人施設は100人待ちで結局入れず、老人向けの病院に転院できた。
ここなら年金で遣り繰りできるので、とりあえずホッとした。
その転院した病院に行って、書類にサインし、3階の明るい病室に行った。

部屋にばあちゃんはいなかった。おばさんとキョロキョロしていると看護師さんがきてくれて、
「転院したばっかりでー、寂しいんだべー。ベッドから降りようとするんだっけ。
危なくてよー、ナースステーションの脇さ、ベッド移しで寝せっだんだっけー。」
ありがとうございますーとお礼しいしいそこに行くと、口を開けてグゥグゥ寝ているばあちゃんがいた。
「ばあちゃーん。うみだよー。」
ぐらぐら肩を揺らすと、一度だけ薄眼を開けて、「あぁ、はーい」と声なしで返事をした。
「ごはん食べたばっかりだから、ぐーっすり寝てるんだべなー。」
と看護師さんが脇を通りながら言っていた。

ひとしきりばあちゃんの顔をなでて、話しかけて1時間、起きなかったけれど顔色も良くホッ。
看護師さんに挨拶し、そこを出て行った。

その後、ばあちゃんの荷物を撤去するために、借りている平屋の一軒家へ向かった。
おばさんの家から歩いて15秒なので、とりあえずおろしてもらい、ご先祖様たちの位牌を紙袋に入れ、
またおばさんの車でお寺様に行った。
前もってお寺様には、母の位牌以外の、ご先祖様の位牌を預かっていただくことを相談していた。
快く応じていただいたのでホッとしたが、さて永代供養となると、やはり高額を納めなければならず、
お金を貯めなくてはな~とため息がでた。でもこのご先祖様あっての自分なので、大切な問題なのだ。
自分の娘たちが嫁に行って自分が元気なうちに、なんとかしなくてはと思う。

それから、おばさんの家でお昼ご飯を御馳走になって(とっても美味しいうどんだった)、
ばあちゃんの家に戻り、一人でばあちゃんの必要最低限の衣類や大切なものを選別した。
翌週、廃棄業者に来てもらうので、どうしても捨てられないものは段ボールに詰めて自宅あてに送った。

母の着物やたくさんの古い写真を段ボールに詰めた。
思いがけず、母がよく着ていた服を目にした時、
私の誕生アルバムに添えてある母の手書きの文字や言葉を目にした時、
もう突然に目から水が落ちてきた。
何度もほどいた懐かしい青い毛糸。よれよれのその毛糸の、編みかけのストールがあった。
母は編み物が好きだったな。

ばあちゃんは戦争で苦労したから、やっぱり物は捨てられないんだ。
わかってたけど、たくさんの物がその時の匂いを吸い込んだままで、息苦しいほどだった。
ばあちゃんは頑張ってきたから、もういいんだ。
長年使ってきた物や、しまいこんできた物、ばあちゃんの物たち。
ばあちゃんはまだ生きているのにね。ばあちゃんの物たちは、もうばあちゃんに使われないものね。
ばあちゃんはまだ生きているのに。でもごめんね。家賃が払えないから。
私も死んだら物の数だけ悲しませるかもしれないから、あんまり物は増やしたくないな・・

ばあちゃんは徳のある人だ。自分が小さく見える。
天理教を篤く信仰していて、入院中突然、
会長さん(天理教の)にお納めできなくなっちゃったーと言っていたらしい。
転院先の病院では、年金で遣り繰りできるから、
少しでも余裕のあるときに会長さんにお納めしてもらうようにおばさんに頼んだ。
ばあちゃんは私に、天理教信仰を強制しなかった。
ばあちゃんは、そういえば何も私に強制しなかった。
ばあちゃんの徳が、私や子供たちを守っている。

ばあちゃん、ばあちゃん、ばあちゃん。


夕方5時の新幹線に間に合うように、駅までおばさんが送ってくれた。
その前に、おばさんの家で、娘さんともう一人のおばさんとお茶を飲んだ。
私はずっと、祖母を置いて父の所に来てしまったという負い目があったので、おばさんたちが少し苦手だった。
常に批判されているような気がして、会った時も表面的な会話しかしなかった。
でも、おばさんはつくづくと私の顔を見て言った。
「これで少し落ち着いたな~。・・・うみちゃん、大変だったな。・・・・あなた、随分苦労してきたものね・・・」
帰りの新幹線の中では、いろんな安堵感と長年耐えてきたことへの思いと、
おばさんたちの温かさに触れて、しばらくボーっとしていた。


c0141335_1763911.jpg
新幹線の中から撮影
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by umih1 | 2010-02-28 17:12 | 家族
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