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わたしのソファー

悼む人、良かったなぁ。



劇団ひとり 「影日向に咲く」


小説なんかやめて、自伝くらいにしておけば良かったのにな~というのが感想。(ひと様から頂いておいてこの言い草はないけどね~)
「この先は皆さんのご想像におまかせします」的な中途半端さ。
でも、解説がおもしろかった。
しかも、劇団ひとりさんのお父さんが書いた解説。
小説には全く触れず生まれ育ってきた過程と、今後も可愛がってくださいみたいな親心に、思わずニッコリしてしまった。



村上春樹 「象の消滅」


”ニューヨークが選んだ村上春樹の初期短篇17篇。
英語版と同じ作品構成で贈る。” 1980-1991年

個性的な黄色の表紙のこの本は、数年私の本棚で静かにしていた。
私は何かを読み終えるたびに本棚をまさぐり、この黄色の本に触れることはしても、読もうとしなかった。まるで、好物を一番最後に残して食べる子供のように、その存在を強く意識しつつも最後にとっておく、というような心持で。自分をじらすみたいな、ちょっとS気味である。めんどくさい性格だ。
そういう本をとうとう、気まぐれを装うような感じで手にとり、時には牛のように反芻しゆっくり味わった。もぐもぐ。
読んだことのあるものもあったが、いやはや、新鮮さは変わりませんな。

一番気になった物語は、「Sleep」。
全く眠れなくなってしまったことによる変化。いや、変化した故に眠れなくなってしまったのか。
いつも眠い私にとって、魂を失っていくほどの覚醒は、本当にこういうものなのかもしれないと思ってしまう。睡眠の時間が減っても平気なら、極力眠りたくないと思う。
しかし、身体は我慢できない。でも、「眠れない」という悩みを持つ人が周りにいて、苦しみを聞いていると、本当にこちらまで辛くなってしまう。
真夜中に、一人眠れない焦り。体の芯は疲労でぐったりしているのに、何故目が覚めてしまうのか・・・。
眠り。それは深い穴にすっぽり潜り込む、温かい場所で本来の命にまた炎を吹きこむような、そんな行為なのかもしれない。



天童荒太 「悼む人」 


なんども本を閉じた。
正直言って・・・・・
・・・・・泣いた泣いた泣いちゃったー。
静人の母ちゃんのところがもうどうしようもなかった。
でも、静人も「男」という部分があったので、そこがなぜかホッとしたというか。
こういう男は結婚できたとしても、またどこかへ行脚に行ってしまうな~と思っていたから、
あの女性と、ああなったのはヒジョーに納得した。

「悼む人」を思い、考え、著す。
すごいなー!!
一番共感した部分は、好感度の高い生活態度の人が殺されたりして亡くなったらみんな悲しむが、
好感度のかなり低い人が亡くなったとき、そうなったのは自分が悪い当然だと思うのはおかしい。
という箇所。「結局事故に巻き込まれたのは自業自得」というような事を耳にすると、とても違和感を感じるので、この箇所はそうそうと頷くばかりだった。

天童さんの本は、「包帯クラブ」という、映画にもなったやつを読んだ事がある。
これもなかなか面白かった。
次女が天童さんのファンなので、思いがけず悼む人が読めてラッキー。
本にかけては気前の良い娘なのだ。
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Commented by at 2009-07-04 23:46 x
天童さんの本、「悼む人」だけ読んでないよぉ!「永遠の仔」も「家族狩り」も良かった・・。夏休み、読む本リストに入れます。ところで、うみちゃん、春樹さんの1Q84は?感想、待ってます。
Commented by umih1 at 2009-07-05 20:52
菫さん
私は永遠の仔も家族狩りも読んでません。なんだかシンドクなりそうで・・・でも、読んでみようと思いました。そうかーやはり良かったんですね。また読みたい本のリストが増えてしまいました。
村上さんの新刊は、たぶんアマゾンあたりで安く出回るようになったら読むと思います。図書館に予約しても、1年くらい待ちそうなのでー。
Commented by kisaragi87 at 2009-07-07 07:16
悼む人、ゆうべ読み終えました。
うみちゃんの記事読んでいたのだけど
あともう少しだったから読み終えてからコメントしようと思ってたの^^
ゆっくり毎日少しずつ味わうように読みました。
そうね、どんな死だって誰かに悼まれるはずの死なんだよね、
きっとどこかで誰かに愛され、感謝された命なんだと思います。

私は中ごろに出てきた、17歳の男の子の両親が
なくなった子供の話をするところ、
静人に愛する我が子の話をきいてもらい、癒されていくところが胸にしみました。
誰かにおぼえていてもらう、こんな子だったの、こんな母でしたと話して、きいてもらうだけで気持ちがなごむものなのかもと思いました。切なくなりました。
実際に静人のようなことをしていたら、身も心ももたないと思うけど。

最後の展開に感じることは人それぞれだろうけど
私もうみちゃんと同じように救われるような想いがしました。
Commented by umih1 at 2009-07-08 20:47
kisaragiさん
この物語の中には、殺された人や事故にあった人の話が多くて、残された家族にとって時は止まったままなのに、周りはどんどん変わっていく、とまどいや悔しさがずっと心を占めている、そういう部分に触れるととても辛くて読み進めるのがシンドイなーと思いました。
その17歳の男の子の話は、しんとした夜に悼む静人の姿がまるで神か天使のように思えました。親にしかわからないその子の本当の優しさが、とても辛くてでもうれしい。かけがえのない存在がいた、というよりも、愛する者にとっては現にまだ存在するんですよね。。
生きていると、辛いことの方が多いようです。でも、生きていることってやっぱり奇跡ですよね。今日に感謝、明日に感謝、という気持ちに包まれました。
Commented by umih1 at 2009-07-08 20:48
kisaragiさん
続き・・・
何らかの形で人は必ず死んでいくけれど、命のリレーがあることに救われます。子供がいなくても、命のリレーはできるはずですし。物語って、やはり「救い」や「希望」があるべきですよね。今の幸せをかみしめて、あまり先のことは考えず、楽しく感じる気持を大切にしたいな・・・と思いました。
如月さんの何気ないコメントにも、私にとっては救いを感じるときがあります。人ってやっぱり、ぬくもりや温かい言葉が必要なんですね^^
by umih1 | 2009-07-04 19:19 | | Comments(5)
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