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わたしのソファー

The Great GATSBY



グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

スコット フィッツジェラルド / 中央公論新社





居間の壁に、シミを見つけた。
いつからあるのだろう。
食事のときに汚したものだろうか。
洗剤を含ませたタオルでたたいても、そのシミはちっとも落ちない。
まるで、最初からそこにあるかのように。
しかし、最初からあるものなんてこの世には限られているものしかなく、
最初からある大部分のものは「可能性」なのではないか。

―あなたに出会う可能性。
出会わない可能性もあるということ。だから出会ったことに喜びを感じる。
―あなたに出会う運命。
「運命」という言葉は、場面によってはとても陳腐で安易な表現方法だ。ストレートすぎる。


海の表面に映る光とさざ波の影。
その光の反射を受けているような男。
もっと深い部分は音もなく静かだが、得体の知れない生き物がうごめくこともあるのだろう。

ギャッツビーがデイジーを再び見つける可能性はもうどこにもない。
しかし、デイジーを失う運命だったとは思いたくない。
日に焼けて色褪せても、男が想い続けた跡はどこかに残っている。
輝かしい未来にずっと囁きかけた男の想いが。
するりと通り抜けてしまった淡い光は、ギャッツビーの少し狂った美しさのように、
私の瞼に焼き付いている。
まるでこの目で見たかのように。

古さを感じさせない村上春樹氏の新訳。
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Commented by bunkasaba at 2009-06-02 23:38
そういえば、村上春樹の訳本は数点しか読んだことがありません。
小説の原点は、洋書にあるんでしょうね。
「1973年のピンボール」でも「僕」は翻訳家でした。
学生の頃買って読んでいない洋書がCatch-22はじめ、何冊も転がっています・・・。
洋書は、基本的に根性が無いと読めませんよね。
Commented by umih1 at 2009-06-03 23:01
bunkasabaさん
洋書は、特にながいものは名前を覚えられなくて、登場人物の確認のため、何度も前のページを見たり・・・。いろんな呼び方をする場合は途中でイライラしてくることもありますね。年とともに、読むスピードが遅くなります。なかなか覚えられなくて(笑。
村上さん訳では、レイモンド・カーヴァーがダントツに好きです。何度も繰り返して読んでしまうんですよ。「ドライ」味です。
by umih1 | 2009-06-02 23:10 | | Comments(2)
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