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わたしのソファー

稀代の目利き白洲正子が選んだ男、白洲次郎



「白洲次郎 占領を背負った男」 北康利 著


「あなたは本当に英語がお上手ですな。」
「閣下の英語ももっと練習したら上達しますよ。」
GHQのホイットニー准将と白洲次郎の有名なエピソード。

これも有名だが、あのマッカーサーを叱り飛ばした白洲のエピソード。
日本政府を代表してGHQとの交渉窓口を任されていた白洲は、昭和天皇からのクリスマスプレゼントをマッカーサーの部屋へ持参した。
すでに机の上には贈り物でいっぱい。そこでマッカーサーは絨毯を指差し、そこらへんに置いておいてくれと言った。
そのとたん血相を変えた白洲は
「いやしくもかつて日本の統治者であった者からの贈り物をその辺におけとは何事か!」と言い放ち、慌てたマッカーサーは机を新たに用意させたという。

白洲次郎といえば白洲正子の夫であり、戦後復興の立役者ということくらいしか知らなかった。
図書館でこの本の表紙に収まる白洲次郎と目が合ってしまい、引き寄せられるように借りて読み始めたらもう止まらず。
あれよあれよという間に、400ページもの本を読み終わってしまった。

英国仕込みの流暢な英語、センス、見てくれも堂々とした体躯に端麗な顔立ち、しかも熱い男なのだ。
これと見込んだ相手には忠誠を尽くし友情に厚く、ごますりなんかは大嫌い。
息もつかせず一気に読んだ部分は、戦後の新憲法の誕生にかかわる部分だった。
凄まじいGHQとの苦闘、白洲がいなければ、吉田茂が首相になる可能性は限りなく低かったという。
日本の早期独立と経済復興に、歴史の黒子として大きな功績を残した。
戦後のアメリカ占拠からの独立を講和条約により得た時のシーンでは、思わず目頭が熱くなってしまった。

白洲次郎の素晴らしさ、それは、旧態な役所根性をぶち壊そう、古い政治をぶち壊そう、何よりも日本の将来を思うこと、それは自分たちの子供や孫を思う事に繋がる。
人事を握った場合でも、自らの勢力を大きくさせることには全く関心がなく、常に「仕事を成功させるためには誰が適任か」を考える。
彼は仕事が成就すると、さっさとその職を後任に譲る。その潔さは誰にも真似できないほど徹底していたそうだ。
先例や常識をかなぐり捨てる。
合理主義。先見。
威張る事は次郎のもっとも嫌う行為の一つでもあり、東北電力会長の時のエピソードも熱い。
株主総会の時に下見をした次郎は檀上に役員の席が並んでいるのを見とがめ
「株主総会は年に一度株主たちの意見を聞くために開くものだ。役員が偉そうに檀上でふんぞりかえってどうするんだ。」と席を直させた。
運転手つきの社用車に乗る時はいつも、次郎は好んで助手席に座った。
「後ろでふんぞり返っているやつはみんな馬鹿だ!」

晩年は、妻の正子がエッセイストとして有名になるとたいへんに喜んでいたらしい。
しかし正子の作品をほとんど読まず、「西行」を読みかけた時も、わからん!といい投げ出したらしい。
夫婦や家庭内での話にも触れていておもしろかった。

白洲次郎がいなかったら、日本のありかたは大きく違っていたのだろう。
日本一、後にも先にもこんな人はいない・・・のかもしれないと思った。

最後に白洲次郎の言葉。
「プリンシプル(筋)を持って生きていれば、人生に迷うことはない。
プリンシプルに沿って突き進んでいけばいいからだ。そこには後悔もないだろう。」
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Commented by おやスケ at 2008-12-01 13:42 x
一見私らには直接関係なさそうな人物だけど、広範囲にわたって影響があるんでしょうね。マッカーサーを一喝した男としてしか知らなかったですけど面白そうですね~。そういえば、正子さんが師事したのも青山二郎だし、二郎に縁があるのかしらん・・・。
Commented by umih1 at 2008-12-01 21:10
おやスケさん
この人がいなければ、日本のありようが今とは違っていた部分が、かなりあったかもしれないな~と思いました。
凄く面白かったです。ちょっと興奮して(笑)寝付けなかったです。
やっと今、白洲正子さんの自伝の続きを読み始めました。
次郎に二郎。あ、そういえば、うちの犬もジローです。
ジローは散歩とご飯にしか興味ない・・・。でも煎餅は好きですよ(笑。
Commented by at 2008-12-07 00:15 x
うみちゃん、すごーい・・あの分厚い本を読了とは!北康利さん、義妹の元上司で、仕事中に執筆してたらしいです。面白そう・・読みたい!
Commented by umih1 at 2008-12-07 19:52
菫さん
読み終わった後にこの記事をバーっと書いて、さぁ寝ようとしても、興奮してなかなか眠れませんでした。
執筆された北さんは、銀行系証券会社勤務と書いてありましたが、参考資料の数も多く、すばらしい方だなと感心しました。そうですか、義妹さんの元上司だったのですね~。
大学の非常勤講師なども多数兼任されている一方で、兵庫県三田市の郷土史家としての一面も持っていらっしゃるそうです。凄いですね。
Commented by Cumi at 2008-12-14 18:27 x
<p>「日本一かっこいい男」と言われた人ですね!(*^_^*)本当に華のある方ですね。以前、白洲次郎さんの性格を決定付けたものは、早くに正義感の強いお兄様を亡くされたことが関係するかもしれない、という記事を読んだことがありました。。よろしければご覧になってください<(_ _)><a href="http://ameblo.jp/rumicommon/entry-10014597372.html">http://ameblo.jp/rumicommon/entry-10014597372.html</a></p><p>一つ前の記事で紹介してくださっているPie Jesuですが、何度も聞いてしまいました!レクイエムなんですね。なんて穏やかな曲なんでしょう。私、自分にもしものことがあればぜひこの曲で召されたい、と心から思います(^^ゞ本当に素晴らしい曲の紹介をありがとうございます!</p>
Commented by umih1 at 2008-12-16 05:38
Cumiさん
おはよーう^^
白洲次郎さんは、うちのジローと大違い、なんて比べるのも大変失礼ですが、英国仕込みのダンディーさ、母親似の端正な顔立ち、そして曲がったことの大嫌いな性格と大胆さ、なかなかそんな人は探してもいないでしょうね~。お兄さんはとても優しい人で、その優しさゆえに身を滅ぼしてしまったようなところもあり、次郎さんはそのお兄さんに代わり白洲家の名前に恥じないように・・・と思ったのでしょうか・・・。でも性格の半分は、もともとあった気質がもうすでに半端じゃなかった、というような気もします。

Pie Jesu は、誰が歌っているのを聴いても心がしんとします。このヘイリーさん、とても美しくて美しくて、心も同じくらい美しいはず!と思ってしまうほどです。うんうん、確かにこの曲を聴きながらなら、穏やかにあちらへ行けそうですよね。。
by umih1 | 2008-11-30 23:40 | | Comments(6)
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